昼食に何を食べるかで、その人のプロフェッショナル度がわかる
- 2014.03.21 Friday
- 08:15
サラメシ: ランチをのぞけば、人生が見えてくる | |
学研パブリッシング |
NHK総合で2011年から毎週放送されている『サラメシ』という番組をご存知でしょうか。いまは月曜日の22時55分から23時20分まで放送されています。「ランチをのぞけば、人生が見えてくる」という発想で、有名・無名の人の昼食を取り上げる番組です。ちなみに、「サラメシ」とは「サラリーマンの昼飯」の略です。
TVをもたない貧乏英語塾長も、スポーツジムで数回見たことがあります。料理勉強家を自認しているため、それこそ食い入るように見るのですが、いつも感心させられます。昼食を工夫するひとは、本当に人生を工夫している人に思えてくるのです。
朝食は、多くの人がほとんど毎日同じメニューですませます。夕食は、仕事帰りに家族と団欒を囲んだり、つきあいで外食となったりすることが多く、自分でメニューを選ぶことができないことが多くあります。
ところが、昼食の場合、自宅からもってきた弁当であるにせよ、外食・中食であるにせよ、かなり自己裁量権が拡大します。ゆえに、そこにその人の人生観が表れるといわれると、うなずかざるをえません。NHK、よいところに目をつけました。
その番組に出た人を選んで編纂されたのが、上掲の『サラメシ: ランチをのぞけば、人生が見えてくる』です。昨2013年9月24日に学研パブリッシングから出版されています。159ページで、税抜き1300円です。
ここには、番組で紹介された21組の昼食が紹介されています。選ばれた6つの分類と職業がユニークなんです。目次として紹介しましょう。
チームワークメシ
ブルーインパルス
消防署員
「はやぶさ2」研究者
体力勝負メシ
プロサッカー選手
メッセンジャー
社食メシ
陶器メーカー
博多・新天町商店街
沖縄家庭料理店
旅行代理店
ランチも仕事メシ
修行僧
築地市場の鮮魚店
弁当箱専門店
トウガラシ農家
縁の下の力持ちメシ
新幹線清掃スタッフ
仙台・市場食道の女将
東京・十条銀座商店街
グラウンドキーパー
タクシードライバー
職人メシ
有職彩色絵師
宇治川の鵜飼・鵜匠
奥能登の浜士
貧乏英語塾長は、ひとりで食事をするときには、たいがい本を読みながら食べます。堅苦しい本だと食欲が萎えますから、多くの場合食欲を増す料理本や食に関するエッセイが多くなります。
そこで、この本を手に取ったのですが、とんでもない失敗でした。この本を読んでいたら、箸が止まってしまうんです!
普段あまり知らない職業の人たちの工夫した昼食の内容に感心するのはもちろん、その人の職業観がしっかりと書き込まれており、感激してはポストイットを貼り付け、時には仕事に対する熱い思いに落涙してしまうからです。
要するに、この本、ランチを紹介するといいつつ、とてつもないプロフェッショナルを紹介している本なのです。
仕事の最中に食べる昼食ですから、本当のプロなら仕事に役立つものを食べます。
たとえば、メッセンジャーとして東京中を自転車で走り回る女性は、胚芽米のおにぎり6個(2合)を時間の空いたタイミングで食べるといいます。血糖値が下がって判断が鈍り、最悪死ぬことさえあるハンガーノックを避けるためです。立派な心がけです。
逆にいえば、昼食をおざなりにしている人は、仕事もおざなりにしているのかもしれません。多くの方に、この本を読んでもらいたいと思って、ここに紹介している理由です。
さらに、さりげなく紹介されている出演者のコメントにも感動があるのです。最後に、貧乏英語塾長が感激した箇所をページ順に引用させてもらいます。
ブルーインパルス 友田要三等空佐(41歳)
現在のブルーインパルスの隊員のほとんどが、幼い頃、パイロットに憧れていた。1番機を操縦する友田要さんもその1人で、「アクロバット飛行のパイロットになりたい」と小学校の卒業文集に夢を綴っていた。「逆に言うと、そのくらいの強い動機、苦難を乗り越える強い意志がないと、パイロットになるためのつらい訓練に耐えられないんです」(p. 10)
旅行代理店 エイキュー・トラベル 八十島亜由子社長(39歳)
「今までたくさんの営業マンに会ってきましたが、隙あらばサボろうとする人って意外に多いんですよね。でも、トップと呼ばれる人たちは絶対にサボりません。私もそうありたいと思うタイプ。だから一生懸命働くし、部下への指導も厳しくなってしまいがち。普段は恐い社長だろうな…という自覚があるからこそ、週3回のまかない時間はとことん楽しく。仕事って、楽しさ2割、厳しさ8割くらいのバランスがちょうど良いのではないでしょうか」(p. 66)
修行僧 中井健陽さん(26歳)
修行僧の仕事は、その名の通り「修業」だ。でも、修業とは何だろうか。
「日々の生活すべてです」と中井さんははっきり答えた。(p. 78)
築地市場の鮮魚店 斎藤水産 斎藤善明社長(年齢非公開)
斎藤さんは、店の休み以外は毎日店に立つ。その理由は、自分の名前を掲げた店である以上、自分が接客をしていないことはお客さんの信頼に関わるから。長嶋茂雄監督じゃないが、“常に店にいることが最高のファンサービス”を地でいっている。「お客さんのことを思ってないと、この仕事はできないよ」が、斎藤さんの口癖だ。
新幹線清掃スタッフ TESSEI 小山文江リーダー(61歳)
「3組」を束ねる小山文江さんは、パートから9年かけてリーダーになった叩き上げ。「1人で頑張れば何とかなるわけでも、コツコツやれば良いわけでもありません。人との関わりが避けられない仕事です」と話す。(p. 102)
有職彩色絵師 林美木子さん(47歳)
父は桐塑人形作家で人間国宝の林駒夫さん。父からは、「絵に、男女や老若は出たらあかん。鶴みたいな、仙人みたいな、おじいさんが描いたような絵を描け」と言われている。
「この間、私の作品を見ていた方が、本人とは知らずに『これを描かれた先生、ご存命ですか?』って訊いてきはったんです。あのときはうれしかったなあ」
林さんの見つめる先は、時空を越えた、はるか彼方だ。(p. 140)
宇治川の鵜飼・鵜匠 (公社)宇治市観光協会 澤木万理子さん(39歳)
鵜匠を目指したのは28歳の頃。派遣会社の社員として働いていたが、ふと「このままでいいのかな」と疑問が湧いた。1枚の紙に自分が今やりたいことを書き連ねてみたら、そこに20歳の頃に見て心奪われた「鵜飼」の2文字があった。すぐにネットで調べ、現在働く宇治市観光協会に修業先を紹介してもらう。実は、鵜飼は世襲制の強い世界。そんな中、澤木さんは全国で3例目の女性鵜匠として、しかも外部から初めて入った宇治川の鵜匠として、見習いを始めたのだった。(p. 148)
写していても、目頭が熱くなってしまいました。こんな人たちが美味しい昼食を食べられている間は、日本も満更ではないと思ってしまいます。
仕事に役立つ、美味しい昼食を食べましょう!
今日の教訓:感動を与えすぎる本は、食事中には読んではいけない!
ところが、昼食の場合、自宅からもってきた弁当であるにせよ、外食・中食であるにせよ、かなり自己裁量権が拡大します。ゆえに、そこにその人の人生観が表れるといわれると、うなずかざるをえません。NHK、よいところに目をつけました。
その番組に出た人を選んで編纂されたのが、上掲の『サラメシ: ランチをのぞけば、人生が見えてくる』です。昨2013年9月24日に学研パブリッシングから出版されています。159ページで、税抜き1300円です。
ここには、番組で紹介された21組の昼食が紹介されています。選ばれた6つの分類と職業がユニークなんです。目次として紹介しましょう。
チームワークメシ
ブルーインパルス
消防署員
「はやぶさ2」研究者
体力勝負メシ
プロサッカー選手
メッセンジャー
社食メシ
陶器メーカー
博多・新天町商店街
沖縄家庭料理店
旅行代理店
ランチも仕事メシ
修行僧
築地市場の鮮魚店
弁当箱専門店
トウガラシ農家
縁の下の力持ちメシ
新幹線清掃スタッフ
仙台・市場食道の女将
東京・十条銀座商店街
グラウンドキーパー
タクシードライバー
職人メシ
有職彩色絵師
宇治川の鵜飼・鵜匠
奥能登の浜士
貧乏英語塾長は、ひとりで食事をするときには、たいがい本を読みながら食べます。堅苦しい本だと食欲が萎えますから、多くの場合食欲を増す料理本や食に関するエッセイが多くなります。
そこで、この本を手に取ったのですが、とんでもない失敗でした。この本を読んでいたら、箸が止まってしまうんです!
普段あまり知らない職業の人たちの工夫した昼食の内容に感心するのはもちろん、その人の職業観がしっかりと書き込まれており、感激してはポストイットを貼り付け、時には仕事に対する熱い思いに落涙してしまうからです。
要するに、この本、ランチを紹介するといいつつ、とてつもないプロフェッショナルを紹介している本なのです。
仕事の最中に食べる昼食ですから、本当のプロなら仕事に役立つものを食べます。
たとえば、メッセンジャーとして東京中を自転車で走り回る女性は、胚芽米のおにぎり6個(2合)を時間の空いたタイミングで食べるといいます。血糖値が下がって判断が鈍り、最悪死ぬことさえあるハンガーノックを避けるためです。立派な心がけです。
逆にいえば、昼食をおざなりにしている人は、仕事もおざなりにしているのかもしれません。多くの方に、この本を読んでもらいたいと思って、ここに紹介している理由です。
さらに、さりげなく紹介されている出演者のコメントにも感動があるのです。最後に、貧乏英語塾長が感激した箇所をページ順に引用させてもらいます。
ブルーインパルス 友田要三等空佐(41歳)
現在のブルーインパルスの隊員のほとんどが、幼い頃、パイロットに憧れていた。1番機を操縦する友田要さんもその1人で、「アクロバット飛行のパイロットになりたい」と小学校の卒業文集に夢を綴っていた。「逆に言うと、そのくらいの強い動機、苦難を乗り越える強い意志がないと、パイロットになるためのつらい訓練に耐えられないんです」(p. 10)
旅行代理店 エイキュー・トラベル 八十島亜由子社長(39歳)
「今までたくさんの営業マンに会ってきましたが、隙あらばサボろうとする人って意外に多いんですよね。でも、トップと呼ばれる人たちは絶対にサボりません。私もそうありたいと思うタイプ。だから一生懸命働くし、部下への指導も厳しくなってしまいがち。普段は恐い社長だろうな…という自覚があるからこそ、週3回のまかない時間はとことん楽しく。仕事って、楽しさ2割、厳しさ8割くらいのバランスがちょうど良いのではないでしょうか」(p. 66)
修行僧 中井健陽さん(26歳)
修行僧の仕事は、その名の通り「修業」だ。でも、修業とは何だろうか。
「日々の生活すべてです」と中井さんははっきり答えた。(p. 78)
築地市場の鮮魚店 斎藤水産 斎藤善明社長(年齢非公開)
斎藤さんは、店の休み以外は毎日店に立つ。その理由は、自分の名前を掲げた店である以上、自分が接客をしていないことはお客さんの信頼に関わるから。長嶋茂雄監督じゃないが、“常に店にいることが最高のファンサービス”を地でいっている。「お客さんのことを思ってないと、この仕事はできないよ」が、斎藤さんの口癖だ。
新幹線清掃スタッフ TESSEI 小山文江リーダー(61歳)
「3組」を束ねる小山文江さんは、パートから9年かけてリーダーになった叩き上げ。「1人で頑張れば何とかなるわけでも、コツコツやれば良いわけでもありません。人との関わりが避けられない仕事です」と話す。(p. 102)
有職彩色絵師 林美木子さん(47歳)
父は桐塑人形作家で人間国宝の林駒夫さん。父からは、「絵に、男女や老若は出たらあかん。鶴みたいな、仙人みたいな、おじいさんが描いたような絵を描け」と言われている。
「この間、私の作品を見ていた方が、本人とは知らずに『これを描かれた先生、ご存命ですか?』って訊いてきはったんです。あのときはうれしかったなあ」
林さんの見つめる先は、時空を越えた、はるか彼方だ。(p. 140)
宇治川の鵜飼・鵜匠 (公社)宇治市観光協会 澤木万理子さん(39歳)
鵜匠を目指したのは28歳の頃。派遣会社の社員として働いていたが、ふと「このままでいいのかな」と疑問が湧いた。1枚の紙に自分が今やりたいことを書き連ねてみたら、そこに20歳の頃に見て心奪われた「鵜飼」の2文字があった。すぐにネットで調べ、現在働く宇治市観光協会に修業先を紹介してもらう。実は、鵜飼は世襲制の強い世界。そんな中、澤木さんは全国で3例目の女性鵜匠として、しかも外部から初めて入った宇治川の鵜匠として、見習いを始めたのだった。(p. 148)
写していても、目頭が熱くなってしまいました。こんな人たちが美味しい昼食を食べられている間は、日本も満更ではないと思ってしまいます。
仕事に役立つ、美味しい昼食を食べましょう!
今日の教訓:感動を与えすぎる本は、食事中には読んではいけない!
エイキュー・トラベルの社員の荻田と申します。
偶然こちらのブログに辿りつき、サラメシについての記事を拝見させて頂き、ビックリ!!!
弊社の八十島のことについても書いてあり、嬉しい限りでございます。弊社は外苑前にある小さい旅行会社ですが毎日八十島の賄いを食べ、パワフルに活動中です♫ お近くに来られた際には八十島の賄いを食べに是非お立ち寄り下さい! 八十島も喜びます!