メディア・リテラシーを高めよう

  • 2013.07.10 Wednesday
  • 10:09
英語を勉強する目的は色々あるでしょうが、そのひとつにメディア・リテラシーの向上を入れておくべきです。

メディア・リテラシー(media literacy)とは、情報メディアを読み解いて、必要な情報を引き出し、真を見抜き、活用する能力のことです。

英語ができないと、いい加減な日本のメディアに翻弄されてしまいます。海外報道に関して疑わしいと思っても、英語ができないとそのチェックができないからです。

今日もその真偽が疑わしい記事を見つけました。もちろん、貧乏英語塾長というか日本を愛する国民の宿敵である朝日新聞の記事です。

**********

「アベノミクスが新たなリスク」 IMFが初めて指摘(朝日新聞) - goo ニュース

2013 年7月10日(水)01:20

 【ワシントン=山川一基】国際通貨基金(IMF)のブランシャール調査局長は9日、安倍政権の「アベノミクス」が世界経済の「新たなリスクだ」と指摘し た。一方、IMFは同日、最新の世界経済見通しで、日本の2013年の実質成長率予想を前年比2・0%増に上方修正した。

 ブランシャール氏は同日の会見で、世界経済の新たな懸念材料として「中国の金融システム不安や成長の鈍化」「アベノミクス」「米国の量的緩和の縮小による世界金融の不安定化」の順で、言及した

 IMFはこれまでアベノミクスを支持してきた。リスクだと指摘するのは初めてだ

**********

IMFのチーフ・エコノミストであるオリヴィエ・ブランシャールが「アベノミクス」を世界経済の「新たなリスク」だと言ったと書いてありますが、本当にそうかいなと疑ってしまいます。


というのも、IMFが7月9日付けで発行した“World Economic Outlook Update”(最新世界経済見通し)には、そんなことひとことも書いてないからです。


当該サイト:http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2013/update/02/


なお、英語に自信がない人も、日本語の翻訳がついていますから、ご覧になってください。貧乏英語塾長に賛同いただけるはずです。


それでは、何を根拠に朝日の山川一基記者がこの文章を書いたのだろうと思って、各有力紙を“Olivier Blanchard”で検索してみました。


すると、Financial Times、Wall Street Journal、The New York Times、Los Angeles Timesが書いたブランシャールの会見記事には朝日が指摘したようなことはまったく書いてありませんでした。


ただし、The Washington Postだけが、朝日の記事に近いことを書いています。

Global economic growth to be slower than expected, IMF says
By Katerina Sokou, Published: July 9 | Updated: Wednesday, July 10, 3:53 AM


該当する部分は、次の箇所です。


Blanchard identified three new risks for the world economy: slowing growth in China, Japan’s capacity to keep its debt at sustainable levels and the Federal Reserve’s expected decision to taper its bond-buying program in the United States. Other risks, he said, “are still present, the main ones related to Europe,” which is “still struggling.”


ブランシャールの言葉をそのまま引用したわけではないですから、これがブランシャールが言った言葉かどうかはわかりませんが、少なくとも「アベノミクス(Abenomics)」という言葉は使っていません。訳してみましょう。


ブランシャールは、世界経済に対する3つの新しいリスクを同定した。中国の成長鈍化、維持可能なレベルで国の借金を抱え続けられる日本の能力、そして米国における国債購入計画を漸減するというFRBの予想される決定の3つである。さらに、他のリスクは「まだ存在しており、主なリスクはヨーロッパに関連し」、ヨーロッパは「依然として苦闘している」と氏は述べた。


つまりは、The Postが正しければ、ブランシャールは「アベノミクス」そのものよりも、日本のプライマリー・バランスの悪さを心配しているのです。この議論は当たり前のことですから、他の主要紙が採り上げないのもよくわかります。


山川という記者は、他の朝日の記者同様、安倍晋三が嫌いなんでしょう。ゆえに、こういう情報操作(manipulation)を行ったと想像します。ひょっとすると、ブランシャールは「Abenomics」という言葉を使ったかもしれませんが、塾長には会見記録をそのまま読むことができないので、現状では参議院選挙での自民党勝利を阻むための朝日の記者の悪意をもった情報操作だと判断せざるをえません。


(こういうことを書くと、朝日シンパが文句を言ってくるんでしょうねえ。匿名で、ひどい言葉を使って。そういうのはウンザリしていますから、朝日を擁護される方は、しっかりとブランシャール発言の裏を取ってから、批判してください。よろしくお願いします。)


というわけで、英語ができないと危うく朝日に騙されるところでした。IMFのチーフ・エコノミストともあろう者が、名指しで特定の国の政策に文句を言うはずもなく、塾長としてはThe Washington Postの記事が正確なものだと信じます。


メディア・リテラシーを向上させて、日本のメディア(特に、左翼メディア)に騙されないようにしましょう。


今日の教訓:日本の新聞報道を、無条件で信じてはいけない!

コメント
下記の文章を参照して下さい。IMF公式のソースです。
http://blog-imfdirect.imf.org/2013/07/09/global-outlook-still-three-speeds-but-slower/#more-6354
Global Outlook?Still Three Speeds, But Slower
  • 2013/07/11 2:51 PM
貴重なご指摘、ありがとうございます。

7月12日の記事「メディア・リテラシーをもっと高めよう」で補足説明させてもらっておりますので、ご査収ください。
管理者の承認待ちコメントです。
  • -
  • 2016/03/25 7:18 PM
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